相続対策・認知症対策としての家族信託
事故や病気、認知症などで本人の意思能力が喪失すると、配偶者や子供であっても資産の移動や処分ができなくなってしまいます。つまり、高齢になればなるほどリスクは上がってしまいます。
○できなくなってしまうことの一例
・預貯金の移動
・不動産の処分
・自社株の譲渡・処分
・契約行為
これを防ぐために「成年後見人」や「家族信託」という制度があります。
成年後見人ができること
・「本人のため」に資産を管理することができます。
※家庭裁判所の監督のもと成年後見人が財産管理を行い、定期的に管理内容を報告する義務があります。
・ヘルパーの依頼・入院契約などの各種契約を代理で行うことができます。
成年後見人には誰がなれる?
本人の金融資産が1,000万円以上ある場合、親族を成年後見人候補者として申し立てをしても家庭裁判所はまず認めてくれません。
また、家族が成年後見人になった場合、就任後1ヶ月以内の財産目録作成や年に1度の定期報告が必要になります。
このような理由から現実には、司法書士や弁護士などの職業後見人が請け負うことになるのがほとんどになります。
成年後見人の費用は?
本人の財産額に応じて、家庭裁判所が職業後見人の月額報酬を決定します。
一般的には3〜5万円となるケースが多いようです。
仮に3万円として計算すると、年間で36万円(3万円✕12ヶ月)掛かることになります。
成年後見人の注意点
家庭裁判所は本人にとって本当に意味のある合理的な支出しか認めず、配偶者や子供・孫にメリットのある贈与などの行為は認められません。
例えば、毎年の旅行が本人にとってなによりの楽しみだったとしても認められない。ということや、生前贈与や財産の処分など相続税対策は一切できなくなってしまいます。
上記のように、費用が掛かる。本人のために自由にお金を使ってあげられない。など成年後見人のデメリットを解決できる方法が家族信託になります。
家族信託とは
特定の目的(例えば、自分の老後の生活・介護に必要な資金の管理や給付など)に従って、その保有する預貯金や不動産などの資産を信頼できる人間に託し、その管理・処分を任せるという仕組みです。
家族や親族などの場合であれば特別の費用は発生しません。したがって、資産家のためのものでなく、誰にでも気軽に利用できる仕組みとなります。
メリット
・資産の管理を本人・受託者が自由にできるので、万が一のことがあった場合でも柔軟な対応が可能。
・家庭裁判所が介入しない。(本人のために自由にお金を使うことができる)
・信託対象の資産は相続資産から除外できる。
デメリット
・直接的な節税はならない。(委託者及び受託者が別途個別に節税対策する必要があります)
・信託対象の資産は損益通算の対象にならない。
・信託対象の資産については相続発生時の減税効果が受けられないので、どれを信託or相続対象にするか慎重に取捨選択する必要があります。
・本人の意思能力が正常なときにしか信託契約が結べない。
まとめ
本人がご高齢の場合、元気な内に配偶者や子供たちと相続・家族信託について話し合い、余計な出費を抑えて家族のための資産を守りましょう。
初回相談無料
メールは24時間受付!まずはご相談下さい。